寄附講座

慶應義塾在宅医療テクノロジー推進寄附講座

寄附講座の紹介

 近年少子高齢化対策の必要性が訴えられているが、都市部においても頻回な外来通院が困難となる高齢者が増加の一途をたどることは明らかであり、地域包括ケアシステムの構築は重要な課題である。これはCOPD・間質性肺炎ならびに末期肺がん患者など在宅医療を必要とする患者を多く抱えている我々呼吸器内科にとっても今後深刻な問題となってくる。一方で高速インターネットやモバイルデバイスの普及など情報通信技術(ICT: information and communication technology)の進歩は目覚ましく、どこでも簡単にネットワークに接続できるようになり、世代や地域を超えたコミュニケーションが可能となった。このICTの進歩によって患者の状態の把握のみならず、日常行動様式や病態悪化を事前に察知するシステムなどが普及すれば在宅医療への恩恵をもたらす可能性は計り知れない。さらに患者個々の対応はさることながら、これを通じて得られる情報の蓄積はビックデータとなり、その検討・解析は将来的な臨床への還元につながる。一方で現在多くの企業が医療系ICT技術開発を行っているが、その臨床応用への移行はうまく機能しているとは言い難い。

 そこで慶應義塾大学呼吸器内科が主導となり関連施設の協力を得ながら呼吸器分野における在宅医療テクノロジーの導入、活用をめざし、「治し、支える医療」の具現化につなげていきたいと考え、このたびフクダライフテック東京、フィリップスレスピロニクスによって寄贈された資金をもって寄附講座が開設された。

 本寄附講座は効率的な在宅モニタリングシステムの構築、新規診断・治療機器の開発などに主眼を置き、在宅医療テクノロジーを世の中に推進・啓発していくとともにこれに関わる医師・看護師の育成を目的とし運営をおこなっていく予定である。

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