Achievements(呼吸器内科からのお知らせ)
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当科 正木克宜先生の論文がAsia Pacific Allergyに採用されました

題名

Eosinophilic annular erythema showing eosinophil cytolytic ETosis successfully treated with benralizumab

邦題

ベンラリズマブの投与が奏功した好酸球性環状紅斑の1例

著者

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 正木克宜

掲載ジャーナル

Asia Pac Allergy. 2021 Jul 12;11(3):e28

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34386404/

論文要旨

重症喘息・副鼻腔炎のある56歳女性に繰り返す唇と頸部の腫脹、背部の皮疹が出現した。経口ステロイド(OCS)の内服で一時的に改善したが,内服を中止するとすぐに再発した。末梢血好酸球数は632/μL(9.3%)と上昇しており、血清ANCAは陰性であった。皮膚組織のHE染色では,真皮浅層を中心に好酸球の浸潤がみられたが,血管炎の所見はなく,肉眼的所見や臨床経過とあわせて好酸球性環状紅斑(EAE)と診断した。また、好酸球の融解を示すETosisの所見もみられた。喘息と皮膚の発疹・浮腫のコントロールに3ヶ月間のOCSの連日投与が必要となったため、OCS依存からの脱却を図ってベンラリズマブの投与を開始した。ベンラリズマブの投与開始後、皮膚・皮下組織の症状は速やかに改善し、OCSが中止できた。その後、EAEと喘息は良好にコントロールされている。本報告はEAEにおいて、真皮での好酸球ETosisがみられ、ベンラリズマブが臨床的に有効であることを示唆した初めての報告である。

本論文の与えるインパクトや将来の見通し

EAEを合併した重症喘息患者の治療選択肢としてベンラリズマブが検討される。