題名
Specific pathogens as predictors of poor long-term prognosis after hospital discharge for community-acquired pneumonia
邦題
市中肺炎退院後の長期予後不良の予測因子としての特定病原体
著者
慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 秋山勇人
掲載ジャーナル
Respiratory medicine
論文要旨
背景
肺炎回復後の長期予後は不良であることが報告されているが、今回予後に影響する原因菌について調査した。
方法
市中肺炎で入院し、生存退院した1930人を対象とし、後方視的に予後、背景因子、原因菌を調査した。
結果
中央値442.5(1-5514)日の追跡を行い、中央生存期間は11.9年だった。1年生存率は93.8%、5年生存率は74.0%だった。高齢、PS不良、肺炎球菌ワクチン接種、呼吸器疾患の合併、慢性心不全は独立した予後不良因子だった。肺炎球菌や緑膿菌は予後不良だったが、インフルエンザウイルスは予後良好であった。死因の59%は呼吸器疾患であり、22%が肺炎であった。
結論
年齢、全身状態、合併症だけでなく、原因菌も肺炎回復後の長期予後の予測因子であった。
本論文の与えるインパクトや将来の見通し
肺炎の短期予後の報告に比べ、肺炎回復後の長期予後についての報告は限られており、特に本邦からの報告はほとんどない。本論文では肺炎回復後の長期予後に全身状態や背景疾患だけではなく、特定の原因菌も独立した予後不良因子として同定された。また、肺炎回復後の死因として呼吸器疾患(特に肺炎)が多いことが示され、特に予後不良因子を持つ肺炎後の患者の呼吸器疾患(特に肺炎予防)への注意が重要である。