題名
Factors associated with improvements in subjective symptoms of obstructive sleep apnea syndrome after continuous positive airway pressure therapy
邦題
閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP療法における自覚症状改善因子に関する検討
著者
慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 日本鋼管病院 大塚 健悟
掲載ジャーナル
Sleep Breath. 2020;24(2):491-498.
論文要旨
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)において経鼻的持続陽圧呼吸(Continuous positive airway pressure:CPAP)療法は、有用であるが、自覚症状改善に対する予測因子ならびにそれらの改善に必要なCPAP使用時間について明らかにした報告はこれまでにない。本研究は、OSAS患者のCPAP療法に伴う自覚症状改善予測因子ならびに改善に必要なCPAP時間を明らかにすることを目的とした。
CPAP療法導入となった138名を対象に、自覚症状に関するアンケートとしてエスワープ眠気尺度(Epworth sleepiness scale:ESS)、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index:PSQI)、自己評価式抑うつ性尺度(Self-rating Depression Scale:SDS))を治療前、治療3ヶ月後におこなった。治療前の各スコアが異常値であった患者を抽出し、CPAP使用3ヶ月後の結果をもとに、それぞれの自覚症状の改善群、非改善群に分け予測因子ならびに改善に有効なCPAP使用時間について検討した。
結果、CPAP加療により有意にESS、PSQI、SDSの改善を認めた群がそれぞれ79.7%、67.4%、68.1%存在した。ESS改善群は非改善群に比し、有意にCPAPの使用時間が有意に長く、多変量解析でも長時間のCPAP使用が重要であることが明らかになった。
さらに、CPAPの使用時間としては、各自覚症状の改善に4.75 時間~5.4時間が必要であることが示唆された。
本論文の与えるインパクトや将来の見通し
CPAP使用推奨時間に関するひとつの目安が示唆された。