題名
A case of lung adenocarcinoma with a novel CD74-ROS1 fusion variant identified by comprehensive genomic profiling that responded to crizotinib and entrectinib.
邦題
包括的ゲノムプロファイリングで発見し、クリゾチニブとエヌトレクチニブ両者に効果を認めた新規CD74-ROS1融合遺伝子変異の一例
著者
慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 橋口水葉
掲載ジャーナル
Thorac Cancer. 2021 Sep;12(18):2504-2507.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34319660/
論文要旨
肺腺癌Stage IVAに対して約4年間にわたり化学療法を行い、残存病変に対してサルベージ手術を行った34歳女性。過去に生検検体で提出したRT-PCR(OncoGuide®AmoyDx®)によるROS1融合遺伝子変異は陰性だったが、手術検体から包括的ゲノムプロファイリング(FoundationOne®)を行ったところ、CD74 exon3とROS1 exon34という未知の融合部位を有するCD74-ROS1融合遺伝子を検出した。術後再発を認めた際にクリゾチニブを使用したところ効果を認め、さらに脳転移増大で病勢進行した際にエヌトレクチニブに変更したところ再度効果を認め、現在まで効果が持続している。両薬剤が奏効し、新規融合バリアントの病的意義が示唆された。
本論文の与えるインパクトや将来の見通し
本症例では包括的ゲノムプロファイリングにより新規ROS1融合遺伝子バリアントを同定し、その病的意義が確認された。現行のコンパニオン診断では検出できない新たな遺伝子異常の同定により有効な治療薬にアクセスできる症例を見出し得ることが示唆された。