Achievements(呼吸器内科からのお知らせ)
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当科 正木先生の論文がAsian Pac J Allergy Immunolに掲載されました。

題名

Risk factors for poor adherence to inhaled corticosteroid therapy in patients with moderate to severe asthma

邦題

中等症・重症喘息患者における吸入ステロイドのアドヒアランスに寄与する因子の検

著者

正木克宜

掲載ジャーナル

Asian Pac J Allergy Immunol. 2023 Jun;41(2):113-120 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32563226/

論文要旨

喘息コントロール悪化の一般的な原因の1つに吸入ステロイド(ICS)のアドヒアランス悪化がある。本研究では慶應義塾大学病院と関連病院あわせて18医療機関に通院中の成人中等症・重症喘息患者におけるICSへのアドヒアランスに寄与する因子を後ろ向きに解析した。週に1回以上のICSの吸い忘れがある場合をアドヒアランス不良と定義した。対象者85人のうち19人(22%)がアドヒアランス不良であった。診断時年齢の中央値はアドヒアランス不良群では10歳(四分位範囲、3歳-5歳)、アドヒアランス良好群では41歳(同18.5歳-51.5歳)であった(P = 0.050)。アドヒアランスの障壁をASK-20質問票で評価したところ、小児期に喘息と診断された患者とそれ以外の患者との間で「薬を飲みすぎることへの抵抗感」と「服用回数の遵守」に関する項目の得点に差がみられた。診断時年齢が若年であることは、成人中等症・重症喘息患者のICSアドヒアランス不良と関連した。

本論文の与えるインパクトや将来の見通し

喘息以外の他疾患においても小児期から成人期への移行期において、服薬アドヒアランスの低下が見られるが、本研究でも類似の結果がみられた。成人喘息コントロールの改善のために、移行期からアドヒアランスに着目した早期介入が必要である可能性が示唆された。