Achievements(呼吸器内科からのお知らせ)
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当科 加治先生の論文がInfect Drug Resistに掲載されました。

題名

Nasopharyngeal Mycobacterium abscessus Infection: A Case Report and Literature Review

著者

Masanori Kaji 1Ho Namkoong 2Genta Nagao 1Shuhei Azekawa 1Kensuke Nakagawara 1Hiromu Tanaka 1Atsuho Morita 1Takanori Asakura 1 3 4Hirofumi Kamata 1Yoshifumi Uwamino 2 5Mitsunori Yoshida 6Koichi Fukunaga 1Naoki Hasegawa 2

掲載ジャーナル

Infect Drug Resist

. 2023 Jun 20;16:3955-3963.
doi: 10.2147/IDR.S415197.
Nasopharyngeal Mycobacterium abscessus Infection: A Case Report and Literature Review - PubMed (nih.gov)

論文要旨

血痰を主訴に受診した症例。胸部X線・CT画像では異常所見がなかったが、喀痰と右上咽頭の膿性分泌培養で抗酸菌を3回検出し、M. abscessus subsp abscessusと同定した。PET/CTでは右上咽頭にのみFDGが集積し、M. abscessusによる上咽頭炎と診断した。初期治療にアミカシン、イミペネム、アジスロマイシン、クロファジミンを、維持治療ではアジスロマイシン、クロファジミン、シタフロキサシンを投与し、合計4ヶ月間治療、自覚症状は改善し、右上咽頭病変は消失、喀痰培養陰転化、PET/CT画像が改善した。非結核抗酸菌(NTM)による上気道感染は副鼻腔炎が多く、咽頭炎の報告は少ない。処置による物理的刺激や免疫抑制剤使用などが危険因子として報告されているが、本症例では認めなかった。

本論文の与えるインパクトや将来の見通し

喀痰培養でNTMを検出し肺内病変が明らかではない場合、上気道の感染を念頭に置くべきである。また、ケースシリーズからは、咽頭・喉頭NTMに対しては抗菌薬治療の奏功率が高い可能性が示唆された。咽頭・喉頭NTMに対する最適な治療法の確立に向けて、さらなる症例の蓄積が望まれる。