Achievements(呼吸器内科からのお知らせ)
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当科・島田嵩先生、中村守男先生らの論文がIntern Medに掲載されました

題名

Homeless Patients with Lung Cancer in Metropolitan Tokyo

邦題

東京都区部の生活困窮者病棟の入院患者における肺癌患者の現状

著者

Tomoyo Oguri 1,3, Shinji Sasada 1, Takashi Shimada1,4, Kota Ishioka 1, Saeko Takahashi 1, Tomohide Adachi 2, Morio Nakamura1

1. Department of Respiratory Medicine, Tokyo Saiseikai Central Hospital, Tokyo, Japan.

2. Department of General Internal Medicine, Tokyo Saiseikai Central Hospital, Tokyo, Japan.

3. Department of Clinical Oncology, St. Marianna University School of Medicine, Kawasaki, Japan.

4. Department of Internal Medicine, Hino Municipal Hospital, Tokyo, Japan.

掲載ジャーナル

Intern Med 2021; 60 (20): 3221-4.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33896864/

論文要旨

当院は、生活困窮者のための病棟で医療支援を行っている。2014年1月より2018年8月まで本病棟の入院患者のうち、原発性肺癌として治療対象となった13名の臨床背景を検証した。数値は中央値 (最小値-最高値) で示す。対象は全員男性で、年齢66.2歳 (51-77)、12例が喫煙者で、BMI 19.3 (14.5-24.6) であった。組織型は扁平上皮癌4例、腺癌4例、小細胞癌1例、その他4例だった (EGFR遺伝子変異陽性1名、PD-L1高発現例3名)。12例がStage IIIA以上であり、プラチナ製剤併用レジメン10例、EGFR-TKI製剤1例、免疫チェックポイント阻害剤2例で治療が導入されたが、7例 (54%) は1次治療以降の治療は中止となり、5例が本人の希望であった。全生存期間は7.5ヶ月(1-44)だった。生活困窮者の肺癌は、診断時に既に進行期であることが多く、診断後も治療継続の意思がなく十分な加療が得られずに予後不良となっている可能性が高い。手術不能例の肺癌でも的確な治療シークエンスにより長期生存を目指せる時代となり、治療継続の為の支援環境の整備や患者教育の体制が望まれる。

本論文の与えるインパクトや将来の見通し

生活困窮患者にとって化学療法を継続することは困難であり、しばしば治療を故意に中止してしまう。肺癌治療の進歩の恩恵の享受ために、経済的・社会的な支援体制を整備し患者教育に努め、治療継続が可能な社会的環境の構築を要することを発信した。

本題の要旨は第116回日本内科学会総会日本内科学会ことはじめ (2019年4月名古屋) で発表した (演者:島田嵩)。