題名
U-shaped association between abnormal serum uric acid levels and COVID-19 severity: Reports from the Japan COVID-19 Task Force
著者
筆頭著者 慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 福島貴大
責任著者 慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 中鉢正太郎
掲載ジャーナル
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35811077/
International Journal of Infectious Diseases doi: 10.1016/j.ijid.2022.07.014. PMID 35811077
論文要旨
背景/目的:COVID-19パンデミックは未だ終息の気配がなく、重症化症例も散見される。これまでに様々なCOVID-19重症化関連因子が報告されているが、我々は過去に小規模な研究にて高尿酸血症とCOVID-19重症化の関係を報告した。今回さらに大規模な研究を行い、COVID-19重症化と尿酸値異常の関連を検討した。
方法:COVID-19 Task Force データに登録された1523人を対象とした。入院時尿酸値異常有無での患者背景, 血液検査, OUTCOME/重症化(気管挿管の有無)を比較解析した。多変量解析にて入院時尿酸値異常がCOVID-19重症化と関係しているかを評価した。
結果:尿酸値とOUTCOMEのROC曲線から, 尿酸値異常のカットオフ値を7.6 mg/dLとした。尿酸値異常のある集団では既知の重症化因子(高齢, 男性, 肥満, 糖尿病や腎機能・心血管障害などの依存症)を多く有し, 気管挿管/人工呼吸器管理を有意に多く必要とした (p=0.0002)。尿酸値を層別化しCOVID-19重症化との関係を多変量解析で検討すると、高尿酸のみならず、低尿酸も有意に関係していた(U-shaped association)。
結語:入院時尿酸値異常とCOVID-19重症化の関係が確認され、重症化予測因子として有用な可能性が示唆された。
本論文の与えるインパクトや将来の見通し
日本人COVID-19患者における大規模解析にて, 尿酸値異常とCOVID-19重症化の関係を明らかにした。入院時尿酸値異常は高値および低値ともにCOVID-19重症化を予測する因子となりうる。尿酸異常は一塩基多型(SNP)との関係が報告されており、今後こうしたゲノム情報を合わせた統合解析が検討される。