Achievements(呼吸器内科からのお知らせ)
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当科 扇野圭子先生の論文がCancer Scienceに採用されました

題名

Intracellular levels of reactive oxygen species correlate with ABT-263 sensitivity in non-small-cell lung cancer cells.

邦題

非小細胞肺癌の細胞内活性酸素レベルはABT-263の感受性に関連する

著者

慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 扇野圭子

掲載ジャーナル

Cancer Science

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32687646/

論文要旨

ABT-263はアポトーシスを阻害するB-cell lymphoma 2(Bcl-2)タンパクの働きを阻害することで細胞死を誘導する薬剤である。現在複数のBcl-2を標的とした選択的阻害薬が開発されているが、非小細胞肺癌における効果、および臨床的有用性は確立していない。当研究室において、複数の非小細胞肺癌細胞株におけるABT-263の感受性およびその作用機序の検証を行った。

各種非小細胞肺癌細胞株とABT-263の感受性の検討で、Calu1、Calu3、BID007の3細胞株において単剤での感受性を確認した(Fig1)。またABT-263の治療前後で、感受性株において細胞内の活性酸素種(reactive oxygen species; ROS)の低下を認め(Fig3)、さらに活性酸素や殺細胞性抗癌剤を用いて細胞内ROSレベルを上げることで、ABT-263の感受性が高まることを確認した。

これらの結果より、細胞内ROSレベルは、非小細胞肺癌におけるABT-263への感受性を予測する新規バイオマーカーとして使用できる可能性が示唆された。

本論文の与えるインパクトや将来の見通し

本研究の結果より、非小細胞肺癌におけるABT-263の感受性予測のみならず、ROSを上昇させるような治療との併用、例えば併用薬剤および放射線治療との併用など、新たな治療の応用につながる可能性がある。