題名
当院で入院加療した新型コロナウイルス感染症患者の臨床像 第1波と第2波の比較
著者
藤井健太郎 1、中村守男 2、丸木孟知 3、土屋悠海 3、伊藤航人3、谷山大輔3、関根和彦 4、石井誠 5、福永興壱 5、菊池隆秀 6
1. 東京都済生会中央病院 腎臓内科 2. 同 呼吸器内科
3. 総合診療・感染症内科 4. 同 救急救命センター
5. 慶應義塾大学医学部呼吸器内科 6. 東京都済生会中央病院 血液内科
掲載ジャーナル
日本呼吸器学会誌 2021; 10 (3): 236-44.
https://www.jrs.or.jp/modules/basicauthj/index.php?file=ajrs/010030236j.pdf
論文要旨
当院の新型コロナウイルス感染症の診療状況について4月前後の第1波と6月以降の第2波で比較検討したところ、第2波で致死率が低下し重症化が抑制されていた。重症化マーカーである白血球数、CRP、フェリチン、LDH、D-dimerは酸素吸入を要する中等症・重症群で有意な上昇を認め、第2波では一部は有意な低下を呈したが、第1波と同等に高値である群が存在した。第2波では軽症から中等症への悪化は抑制されていないが、中等症から重症への悪化が抑制されており、 remdesivir や dexamethasone などの治療の早期介入が寄与している可能性が考えられた。
本論文の与えるインパクトや将来の見通し
コロナ禍初期の病態の把握のみならず検査や治療法まで未整備であった時期に、非指定病院の市中病院で患者を受け入れ、限られた情報より試行錯誤しながら対応をした経験をまとめたものである。本邦における、本疾患診療の「歴史」の一部を学会誌に残した意義はありと考える。
本題の要旨は第665回日本内科学会関東地方会 (2020年12月Web) で発表した (演者:德冨佑太郎)。