今回、慶應義塾大学、東京医科歯科大学、大阪大学、東京大学医科学研究所、国立研究開発法人国立国際医療研究センター、東京工業大学、北里大学、京都大学では、感染症学、ウイルス学、分子遺伝学、ゲノム医学、計算科学を含む、異分野の専門家からなる共同研究グループ「コロナ制圧タスクフォース」を立ち上げました(https://www.covid19-taskforce.jp/)。
新型コロナウイルス感染症の最大の脅威の一つは、重症患者のうちの多くが短期間のうちに急に重篤化することです。そして、その救命のためには、大きな医療リソースを必要とするということです。本タスクフォースでは、最先端のゲノム解析技術を駆使して、新型コロナウイルス感染症が重症化するメカニズムの遺伝学的な基盤を明らかにするとともに、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する有効な粘膜ワクチンの開発を行います。
具体的には、日本人のCOVID-19の人口当たりの死亡者数が欧米諸国に比べ圧倒的に少ない点に注目し、日本人におけるCOVID-19の重症感染者と軽症・無症候感染者を比較することで、日本人特有のCOVID-19重症化に関連する疾患感受性遺伝子の探索を行います。このようにして得られる知見から、今後、COVID-19診療における治療予測を提供するだけでなく、独自の特許技術に基づいて、有効な粘膜ワクチンの開発を目指します。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/5/21/28-69892/
コロナ制圧タスクフォースの使命
1.日本社会への貢献
日本人感染者の重症化因子を解明(同定)し、重症度予測法を構築することで医療リソースの最適化を図り、医療崩壊を防ぐことが期待されます。
2.国際貢献・協調
今や、全世界が、"コロナ制圧に向けた戦い" 開始しました。その中で、新型コロナ感染において、欧米と比較して顕著に死亡率の低い日本は国際的にも注目されております。同じウイルスなのに、国や地域によって感染率、重症化率、死亡率が異なる理由として、人種差(遺伝子多型)の関与の可能性が考えられます。
我々の挑戦は、日本人のゲノム解析を通して、「新型コロナ感染症の重症化のメカニズムを世界に向けて発信する」ことです。民族的に均一な日本人は、低ノイズ高感度のゲノム解析が可能であり、新型コロナウイルスに影響力のある遺伝子多型を同定し、新型コロナウイルス感染症の病態メカニズムの解明につながることが期待されています。
3.新興ウイルス感染に迅速に対応するためのシステム構築
次の脅威に迅速に対応するため、モニタリングのための患者リクルートシステムを含む統合的な仕組みを構築します。
4.ワクチン開発
分子ニードル技術を応用した鼻腔スプレー粘膜ワクチンの開発を目指します。
コロナ制圧タスクフォースのホームページ